白い陶オブジェに真っ赤な花びらを押し固めた塊が投げつけられる。
チューリップの花びらのドロドロになった塊をコテで盛り上げて行く。
これが“いけばな”なのか?!
押し固めた赤い花びらの塊が荒縄で縛り上げられている。
チューリップの花びらが腐敗し、まるで不毛の地のような島を形作る。
果たしてこれらは“いけばな”と言えるのか?!
幼時期に脊椎カリエスを患った中川は、曲がった背中と共に反骨精神を身につけて行く。
流派いけばなの決まり事に疑問を抱き、花本来のあるがままの命をとことん見極めるために、最大流派池坊に脱退通知を叩きつけた。香川県丸亀市から東京に乗り込んだ中川に、当時飛ぶ鳥を落とす勢いだった草月流の勅使河原蒼風は「恐ろしい男が花と心中しにやって来た」と語ったと言われる。
流派を否定し、弟子を一切取らなかった孤高のいけばな作家は、極貧の中で花の生き、死にと向かい合い続ける。
花との極限の対話、闘い、おののきを経て、想像を超える作品が次々に生み出されて行く。
900本のカーネーションをガラス器に詰め込んで逆さに置き、和紙に真っ赤な花液が滲み出る「花坊主」
瑞々しい葉脈が艶かしい白菜を丸ごと生けた「ブルース」
まさに朽ち果てようとするギリギリの雄しべと雌しべを生けた「チューリップ星人」等々
花の生命力そのものを鮮やかに浮かび上がらせて提示した衝撃的な作品の数々。
長年に渡って書き綴られた創作ノートを通して、また本人が語る言葉で様々な創作誕生の秘密が明かされる。
2002年に実現した「天空散華」
100万枚の色鮮やかなチューリップの花びらが天空から舞い落ちる中、95歳の舞踏家・大野一雄が渾身の力で踊る。
中川幸夫が前衛いけばなの世界に刻み付けた数々の作品は、重森三玲の言う「永遠のモダン」として、いつまでも語り継がれて行くであろう。
これらからは、千利休に始まる日本の前衛の最先端が見えてくる。
協賛 | 百十四銀行学術文化振興財団 |
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協力 | 中川幸夫事務所、ギャラリー小柳、ミズノ・プリンティング・ミュージアム、 重森三玲庭園美術館、龍安寺、フラワーショップ・プリマベーラ、カルティエ現代 美術財団、ギャラリーTOM、有限会社かんた、香川フイルムコミッション、 善通寺、大地の芸術祭実行委員会、中川榮子、池内真理子、高橋 章、都倉政信、 田村 恵、内田真由美、梶浦政善、橋爪直美、増田静雄、三橋勝敏、藤堂栄子、 藤堂亜美、西尾篁月、谷光千江子 |
映像提供 | NHK,日本テレビ、小原流、重森貝崙、繁岡ケンイチ |
資料提供 | 丸亀市役所資料室、平和写真印刷㈱、印刷図書館、岡山県吉備中央町、 大阪府岸和田市、一般財団法人草月会、土門拳記念館、逓信総合博物館ていぱーく、 朝日新聞、慶応義塾大学アートセンター、㈱朝日新聞出版、岐阜県庁人づくり文化課、 北海道東川町写真の町実行委員会、(株)求龍堂 |
写真撮影 | 中川幸夫、土門 拳、新居義久、牧 直視、藤森 武、細江英公、下瀬信雄 白谷達也、福森 武、高橋 章 |
企画・製作・監督・編集 | 谷光 章(たにみつ あきら) 1945年香川県丸亀市生まれ。1967年日本映画新社入社。ニュース映画企画者として3億円事件、安田講堂占拠、大阪万博、浅間山荘事件、三菱重工爆破事件などに関わる。1977年よりフリー演出家として多岐にわたる作品を演出。ドキュメンタリー映画「さわる絵本―盲児たちの世界」(ヘラルド配給、厚生省特選)「飛べ!マリンジャンボ」(広告電通賞グランプリ)「日本の中小企業」(文部省特選)等々 |
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ナレーター | 山根 基世、大杉 漣 |
撮 影 | 三橋 好博、榎本 秀男、宮田 褆彦、野田 好章、谷光 章 |
撮影助手 | 蕪木 靖久、山崎 智香、町田 和康 |
ミュージックエディター | 井口 明夫 |
サウンドエンジニア | 引間 保二 |
録音スタジオ | アクエリアム |
タイトルCG | 安田 誠 |
イメージデッサン | 二宮 陽香 |
通 訳 | 角田 彩 |